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アイスランドの魂の詩人、ハトルグリームル・ピエトルソン

ハトルグリームル・ピエトルソン(Hallgrímur Pétursson (1614-1674)はアイスランド国民からもっとも慕われている17世紀の牧師であり詩人です。その知られていない作品がスウェーデンの古い写本の中から発見されたと言うことでニュースになっていた。

レイキャビクを訪れたら誰でも目にするあの強烈に目立つロケットのような丘の上の教会、ハトルグリムスキルキャ(Hallgrímskirkja)が、この方の名前にちなんで命名されたことを知れば、どのくらい愛されているのかよくわかる。070830hallgch

ハトルグリームルを有名にしているのは「受難の歌」(Passíusálmar ーう さぉるまる、英語でHymns of Passionという50篇からなる聖歌で、彼が牧師在職中の1656年から1659年にキリストのゲッセマネの園から墓に葬られるまでの道行きを瞑想しながら詠ったもの。

アイスランド文学の歴史には2つの頂点があるといわれ、一つはニャルスサーガ(Njáll’s Saga)でもう一つがこの「受難の歌」。

アイスランドは話し合いによってキリスト教に改宗した歴史があり、したがって改宗につきものの流血事件もなかった(カソリックからルーテル教会に改宗したときは司教親子が処刑された経緯はあったが)。だからなのか、礼拝の参加者は信徒の10%ほど。熱い信仰の覚醒がないのが熱心なクリスチャンたちの嘆きとなっているようだ。

しかし、イースターをまえにした聖金曜日(Föstudagurinn langi)にはこの「受難の歌」がささげられ、それを聞きに多くのアイスランド人が教会に集う。

歌といってもメロディーもオルガンの伴奏があるわけではない。引導者がこの歌を朗詠するのを会衆はひたすら耳を傾けて聞いているというのである。そして人々はこの歌を通して主の前に頭を垂れ、主の痛みをわが痛みとして、信仰をささげる----

Hall_pass「我が魂、心、思いよ、そしてわが内に見る全てのものよ、蘇れ。主よ、来たりて我を、わが言葉を汝がものとし、主の驚くべき受難を知らしめよ!」“Arise my soul, my heart, my mind, and all that I within me find; Come help me, tongue, my Lord to own and make His wondrous passion known!”----これは「受難の歌」の最初の一節である。 (英語からの翻訳は私の責任でございます)

不謹慎な言い方だが、とってもまじめで悲しい作品なのである。最後の一節は分かれて「Death’s Uncertain Hour(死の不確かな時間)」というお葬式に欠かせない歌となっているというし・・・。

楽しい楽しいクリスマスににわかにクリスチャンが増えるのは日本もそうだから良くわかる。しかし海外ではそれほど知られてはいないというこの「受難の歌」に、聖金曜日の教会が人で埋まり、半旗でキリストに哀悼の意をささげる、というのは、ハトルグリームルの作品へのアイスランド人の強烈な愛情と、彼らの愛国心によるものかもしれない。彼のアイスランド人の信仰の形成への貢献は大きい。

嗚呼、アイスランド人!

(参照:Iceland Review 2011.4.25

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