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2010年11月

アイスランド憲法改正へ~アイスランド国民の国家ビジョン

アイスランドでは1944年の独立以来初めてとなる全面的憲法見直しに向けて準備が進められています。ワシントンポストIceland Reviewの記事より紹介します。

アイスランド憲法の経緯
アイスランドの憲法はデンマークから1944年に独立したときデンマークの憲法をいくつかの項目を修正(独立した共和国として、「王」を「大統領」にするなど)して採用していた。だから全面的な改正は議題としてこれまでずっと取り上げられてきた。

2008年の経済の崩壊を機に、その機運は一気に高まった。経済危機の原因が経済の失敗のみならず行政や司法の仕組みにあると国民は考えるようになり、より厳格な憲法の枠組みを求めて一般市民が国会議事堂アルシンギを鍋やフライパンや樽を叩きながら取り囲み、憲法改正を迫った。

今年の春から本格的に憲法改正への準備が始まり、憲法改正を草案する「憲法会議」の代表者をめぐって11月27日に選挙が行われ、立候補した一般市民525人が約30の議席を争った・・・。

新憲法が根ざすべきアイスランド国民の国家ビジョン
101107nationalforum2010 それに先立ち、11月7日、国民会議が開かれ、全国から無作為に選ばれた1000名の一般市民が集まり、憲法改正にむけアイスランド国民が目指す国家のビジョンを話し合った。(写真は国民会議公式サイトより)

参加者は、特に公的機関や官僚・役人・公務員に対して公正さ(honesty)と高潔さ(誠実integrity)を強く求めた。また、倫理道徳がアイスランド社会にもっと密接なものとなることを望み、道徳や倫理を初等教育や公的機関の教育で導入することを求めた。

また、宗教と国家の分離人権の尊重、そして医療と教育の平等な利用を求め、アイスランドは国際協力に加わり、非武装非核地域である平和の提唱者であることを願った。

アイスランドの法律にアイスランドの自然保護のための明確な法制化を求め、アイスランドの天然資源がアイスランドの管理下におかれていることを明確にすることを求めた。また、民主主義がアイスランド社会の強力な力であり、明解な権力の分離と透明性の原理に基づくことを求めた。

この結果はアイスランド国民のビジョンを表すガイドラインとして憲法改正に携わる「憲法会議」に提出される。

注目すべきなのは国民の参加と憲法改正のプロセス。

最終的にはふさわしい人たちが選ばれて起草するのでしょうが、憲法の制定に国民が参加する権利と責任を授けるという、アイスランドの成熟した民主主義のありかたに目を見張るものがあります。日本では一般市民に憲法の起草が任されるチャンスはないでしょうし、大丈夫?って思いになりますよね。

また、国民が願う国家のビジョンや価値観をベースに憲法を定めるということ。当たり前かもしれないけど、大きな国では見えてこないものです。

さらにアイスランド国民は憲法に倫理道徳を求めていること。これってどこの国でも当てはまるとは思えなくて、天晴れ(あっぱれ!)です。経済危機でアイスランドの誇りがずたずたになった猛省の賜物でしょうか。

総じて感じたことは、真の民主主義は真の国民を必要とする、すなわち、良い政治のウラには良い国民の存在がある、ということ。

日本の、変わらなければならないものは何であるか、のヒントがあるような気がします。

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アイスランド火山の終息宣言(Iceland Review)

10月末、アイスランド大学の地球科学研究所はついにアイスランドの一連の火山噴火の終息を発表。うっかり見逃してましたfuji。以下Iceland Reviewの記事より

この度の噴火は3月20日、エイヤフィヤトラヨークトルとミールダルス氷河の間にあるフィンボルドハオルス火山*(Fimmvörduháls)の頂上で始まり4月12日に終息、と思いきや続いて14日にエイヤフィヤトラヨークトルの山頂火口で噴火、最後の噴火は6月中旬だった。

Rangarthing_ytra_map_2

エイヤフィヤトラヨークトルでは今も水蒸気があがっていて、最終段階で再び噴火する可能性もあるというが噴火の終息が発表された。このエリアはまだ地熱が高く、溶岩の通ったところは焼けるように熱い。冷えるのに1,2年かかるかもしれない。フィムボルドハオルスではまだ溶岩の割れ目や火口に残り火を見ることができる。

噴火によって起きた洪水は川の堤防に穴をあけ、潟をつくり、大量の火山灰は土石流をおこした。火山の噴出物の総重量は3億から4億トンで、噴火で溶けた氷河の氷は約1億立方メートルになる。

* 被害が殆どないので誰も読もうとしなかった、最初に噴火した山の名前。意味的にはフィンボルド山地、かな。そう言ってみるとエイヤフィヤトラヨークトルもエイヤフィヤトル氷河、となる

火山噴火の被害額
水蒸気噴火によって噴出された微細な火山灰が国際航空網に甚大な被害を及ぼした。多くの空港が閉鎖されほとんどすべての大陸が何らかの形で影響をうけ、航空各社の損失は合計2000億クローナ(180億ドル)に上ると見られる。

さて、アイスランドの火山の噴火によって被害を受けた道路の修復の費用は1億クローナ(88.3万ドル、7400万円)に上る見込み。

エイヤフィヤトラヨークトルのすぐ西を流れる川(Markarfljót)の洪水で分断された環状道路の修復が3000万クローナ(26.5万ドル)、火山の北側に位置する自治体(Rangárthing eystra、ピンクのところ)に四駆走行用の車道補修に交付金を支給するなど、その他の関連する工事に1500万クローナがかかる。

これは初期の試算で、河道や堤防の変化を計算に入れると道路の修復費用は1億クローナ以上がかかると考えられる。

ここでは道路の修復費用のみが記載されているので、火山灰による家畜や農作物、生活への被害等々を含むと相当額の被害だったことでしょう。

Volcano1996 火山噴火の被害と言えば、1996年のバトナ氷河での噴火のときには溶けた氷河による洪水で環状道路の長ーい橋が10キロに渡ってごっそり流されました。厚さ500メートルの氷河が溶けて氷河ダムとなり、いつ、どこへ、どんな規模で流れるかもわからないまま噴火から1ヶ月、突然決壊し3日3晩海に向って流れ出し、広いところは30キロの幅で平野が水浸しに。幸い犠牲者はありませんでしたが、被害は17億円だった(島村英紀著『地震と火山の島国』より)そうです。もっともこの頃のアイスランドクローナのレートは今の倍でした。(写真は1996年の噴火開始数日後の氷河。ついに火口が・・・)

すぐ手が届くところにある、人の力では如何ともしがたい自然の力を前に、アイスランド人にどんなメンタリティーを形成するのか、いつも興味津々なのです。それが彼らをとても魅力的なものにしているような、そしてその底力の源となっているような気がしてなりません。

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アイスランド近況報告~憲法改正へGo!Icesave返済の国民負担は9割減?アイスランド人祖先にアメリカ先住民!

みなさん、お元気ですか~?先月は1回しか更新しなかった上にあれからはや1ヶ月・・・。このごろ魁皇が調子がいいですねぇ!白鳳の連勝記録も立派だったけど、魁皇は勝ち越し史上最多記録を99場所に更新shine。優勝にも期待が膨らむ。

アイスランドの近況報告になんで魁皇か?

そう、1998年の長野冬季オリンピックでアイスランドのプラカードを持っていたのは魁皇関でしたからね。思わず応援しますよ。がんばれ~

閑話休題。Iceland Reviewの記事よりここ1ヶ月の近況報告です。たぶん誰も書かないアイスランドニュースを3つチョイス。

アイスランド憲法改正にGo!
アイスランドは1944年の独立以来初めて全面的に憲法を見直すことになり、憲法議会(stjórnlagaþing)を設置する準備をしている。憲法議員を選出する選挙の立候補も締め切られた。そして新しい憲法が目指すべき新しいビジョンを話し合う国民会議は11月6日に開催された。

ちなみに憲法議会議員選挙は11月27日に予定されていて、25~30名の定員に対し529人が立候補、526人が候補者として公認された。これってどう?

Icesave返済の国民負担は9割減?
それからアイスセーブ(Icesave)問題の話し合いが準備されている。倒産したランズバンキ(Landsbanki)の資産がかなりあったみたいで、英蘭が倒産の被害を被った自国の預金者救済のためにランズバンキの代わりに拠出し「返済」をもとめられている金額の95%近くをカバーできる見込み。でも最低でも600億クローナ(約440億円)くらいは国が出すことになるみたい。国民一人当たり15万円也!

アイスランド人祖先にアメリカ先住民
面白い話題は、アイスランド人の遺伝子を研究してたらアメリカ先住民の遺伝子がみつかったこと。アメリカ先住民の血を引くアイスランド国民が350名いて、アメリカを訪れたアイスランド人が西暦1000年前後に連れてきた(英語では「着いて来たfollowed」とあった・・)女性の子孫であると推理される。これがセンセーショナルで・・・ってことは、やっぱりアイスランド人はコロンブスより先にアメリカ大陸に到着したヨーロッパ人ってことを証明したってこと。最近の常識みたい。(「コロンブス発見」と習った人は情報の修正を!)

Leifur_the_lucky レイブル・エイリクソン-初めてアメリカに到着したヨーロッパ人

そういえばウィキリークス(Wikileaks)のアメリカ軍事機密の大量流出の話題もあったね。またアイスランドが関わっているんじゃないかと思ってハラハラしました。海保の中国船拿捕の映像流出も「情報」について考えさせられました。

今日は朝から北朝鮮の韓国攻撃で持ちきりです。おい、日本政府よ、しっかりしろ!と檄を飛ばしたくなるこの頃のセンスのない外交。冷戦時代、アイスランドは米軍の対ソ連の前線基地だったんですよね。レイキャビクでレーガン・ゴルビー会談を実現したように、日本もあっと驚くような(驚かせなくてもいいけど)国際的役割を演じることで世界の尊敬を集める国になって欲しいものです。そういう夢とか、今の政治家にはないのかしらねぇ・・・

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