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2010年9月

火山灰がもたらした大豊作(Iceland Review)

アイスランドの火山のその後や、噴火の影響を心配する方々も多いと思います。
火山活動の休止宣言は慎重の上に慎重を期して、未だに経過観察中。また、火山灰による健康への影響や海洋生物に対する影響などは調査・研究が続けられています。

しかし春の噴火による火山灰は、エイヤフィヤトル山地(地図のオレンジのあたり)やランガオルシング(Rangárþing)地方(地図の赤い部分)の穀物の収穫にいい影響を与えているようです。 Rangarthing_ytra_map
この地域の小麦農家によると、収穫が通常より遅く始まったにもかかわらず、作物の品質が驚くほどよいということです。アイスランドでは農地は続けて三年作付けされます。通常作物は三年目に収穫高は落ちてきますが、今年はそうではなく、まるで休耕させたあとの初年度の農地からの収穫のような取れ高だったとのこと。

アイスランドの農場では、1つの穂あたり19~20グレイン(1グレイン=64.79891ミリグラム)の実入りはよいとしている。しかし現在このあたりの農地では26から28グレインの実入りがある。かつて訪問したデンマークやドイツでは1つの穂あたり23がもっとも一般的と農家の主は語る。

異常に温かい夏もまた小麦の生育に良い影響を与えましたが、火山灰が土地を良くしたことは間違いないようです。

100520webcam1600_3     火山灰を噴出すエイヤフィヤトラヨークトル(2010年5月20日)

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アイスランドのB級グルメ~ピルサ(pylsa) アイスランドホットドッグ

先の全国ご当地グルメの祭典B1グランプリでは「甲府鶏もつ煮」が優勝しました。アイスランドと関係ないって?私もそう思ってました。

大会初日で1位になったこの甲府鶏もつ煮をゲットすべく、2日目は朝の9時過ぎから行列に並び、あまりの暑さで遠のく意識の中で、「アイスランド人は内臓好きだから、鶏のもつ煮はうけるかもしれない!」との天啓が下りたのでした。

Photo                甲府鶏もつ煮

ほんとうにうけるかどうかは社会実験をしてみないとわかりませんが、とにかくアイスランド人の内臓好きとリンクしてわたしがとても元気になったのは事実。いろいろ思い巡らせたんですねぇ。

アイスランドのB級グルメはなんだでしょう?「B級グルメ」と称すべきか悩みはありますが、国民的B級グルメと言えば、やっぱりこれ。

ホットドッグ=Pylsa(ピルサ

家族が集まって、友人たちと、パーティーで、バーベキューで、老いも若きも大好きなホットドッグ。アイスランドではホットドッグを「Pylsa(ピルサ(1個のとき)」 または「Pylsur(ピルスル(2個以上)」と呼びます。ブランド名といっていいでしょう。あまりにも生活に密着しすぎ手軽すぎてB級グルメだぞ、と言えるのかとためらいもありましたが、よく調べてみるとなるほど!

Bæjarins beztu pylsur(バイヤリン ベスタ ピルスル=町で一番のホットドッグ)というレイキャビクのダウンタウンにあるホットドッグスタンドは2006年に英紙The Guardian で「ヨーロッパで2番目に美味しいファストフードショップ」にノミネートされたshineと言われます。このお店、創業は1973年、ビル・クリントンが食したということでも有名。

Baejarins_bezta

アイスランド製のソーセージには牛や豚ではなく(以外にも?)アイスランドが誇る美味しい羊肉が使われています。それが独特の香りとたまらぬ魅力をかもしているのかもしれません。

アイスランドのホットドッグの基本は、直径1.5cmほどの温めたソーセージ細長いパンにはさみ、ケチャップスイートマスタードフライドオニオン生オニオン、それにレモラーディ(remolaði)という白いソースとサウザンアイランドのようなピンクのソースをトッピングしてくれます。もちろん、カスタマイズはOK。この個性を主張できるところもアイスランド人に愛されているポイントかも。

この調味料はどれも辛さも塩分もほんとにまろやか。ケチャップ以外はほとんど主張していません。アイスランド人が辛いの苦手傾向にあるので納得ですが、この非常に微妙な味の違いを分けるというアイスランド人の味覚はたいしたもの。フライドオニオンのさくっとした食感とソーセージのぷりっと柔らかい歯ざわり、そしてその特徴のある風味とと生たまねぎの香りがマッチし、調味料の柔らかな味わいに引き立てられ、忘れられないアイスランドのホットドッグを生み出しているのです。

注文のときは個数とカスタマイズをお伝えください。「一つ(ホットドッグを一つ)、全部トッピングして」欲しいときは「eina(pylsa) með öllu(エイナ(ピルス)メズ オッル)」とオーダーすればよいのです。

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羊のイスラム式食肉処理がアイスランドで始まる(IcelandReview)

アイスランドの羊がイスラム世界で広く食されるときは近いでしょう。以下Iceland Reviewより

Is_sheep この秋、イスラム教の伝統に従った食肉処理が多くのアイスランド食肉解体場で行われる。いわゆるハラール方式を用いることである。これは食肉処理工程についての変更はそれほど求められないが、アイスランドの羊に世界中の新しいマーケットを開くことができる。

この秋はこの方式がいろいろな食肉処理場で一部にまたはすべての処理に採用される。

北部のクバムスタンギ(Hvammstangi)の食肉処理場のマネージャーによると、ハラール方式が非人道的であると言うのはありがちな誤解であるという。反対に、動物を人道的に扱うことに関するすべての規準を満たしているし、消化器系の製品の扱いにも採用している、と言う。

この秋はセルフォス(Selfoss)の南部食肉解体(内臓)協会(Sláturfélag Sudurlands)ではすべての羊の食肉解体はハラール方式にしたがって行われる。その工程にはムスリム(イスラム教徒)が立会い、声に出してまた黙って祈りを捧げる。すべての肉はこのようにして認証を受けることで、食肉解体場の目標はイスラム世界の広く新しい市場に参入することである。

イスラム教徒は、食す肉が正規の手順に従って殺されたものでなければ食べられないとのこと。だからイスラム世界では「ハラール認証」があるかどうかが流通のカギであるようです。ハラール方式のと殺は、電気ショックで即死を禁じる等伝統的なと殺方法に従うので、それを「残酷」という人たちの主張もうなづけます。でもお祈りしてもらって食肉になる羊は、物のように殺され潰され店に並ぶ羊より幸せかな?

アイスランドは9割はクリスチャンでそのほとんどが国教の福音ルーテル教会に属していますが、宗教への寛容さは賞賛に値します。それをことさら感じる記事でした。アイスランドの健康的で美味しい羊が世界のモスリムの胃袋をハッピーにできますように。

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羊の駆り集め、アイスランド全土で始まる

毎年9月最初の週末から10月の最初の週末まで、年に一度の羊の駆り集め(Réttirリエッティルがアイスランド全土で行われます。

アイスランドでは春に子羊が生まれると、牧場主は羊の群れを山に追いたて放牧し、そこで羊たちを野生動物のようにひと夏を過ごさせます。

そして秋になると近隣の牧場主が羊飼いを集めてチームを作り、馬に乗って山に向かい羊を集めます。群れから離れ岩陰やクレバスに隠れたり、山の斜面に取り残されたりしている羊もいるので、集めるのには丸一日がかり。羊たちがふもとに集まってくるとまとめて柵に追い込み、翌日は家族総出で自分たちの羊にまたがったり引っ張ったりして、各農場ごとの柵に羊を分類します。その様子は昨今は観光の目玉にもなっているとのことです。

Roundup     アイスランド大使館ご提供の写真集より

アイスランドの羊は入植以来隔離されたため、他の様々な家畜と同様にアイスランド独特の種となり、現在保護されています。アイスランド・シープドッグも耳が尖って尻尾がくるんと丸まったアイスランド固有の種。そのお話はまた後の機会に。

さて、羊は集められると品定めをされ、繁殖の為に残すものと、食肉加工するものに分類されます。ほとんどのものは食肉加工に。肉はロースト、ホットドッグ、ラムチョップ、スープ用肉、フィレ、hangikjötハンギキョット(燻製ラム肉)、sláturスラウトゥル(レバーやブラッドソーセージ)、sviðスヴィズ(羊頭の炙り)に加工され、アイスランドのご馳走となります。

このシーズンはみぞれが降ったりブリザードになったりすることもあり、いつもの年は駆り集めはけして楽な作業ではありません。でも今年は温かく天候にも恵まれ順調に進んでいるとのことです。

Sheep        一家総出の一大イベント。9月の週末のシャッターチャンス

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アイスランドが報道の自由と透明性の聖地に(IcelandReview)

アイスランドが目の覚めるようなflair試みを始めた。(重たい記事があるとなかなかブログが仕上がらない。以下Iceland ReviewのコラムとWikiLeaks(ウィキリークス)創設者ジュリアン・アサンジュ氏のインタビューを参考に。)

6月16日アイスランド議会アルシンギでは、アイスランドと世界における表現の自由とその報道の自由の保護と強化の為に、政府は一連の法案を導入する、という提案が満場一致で通過した。

この提案には、世界のジャーナリストやその情報源に世界一強力な保護を与え、さらにはアイスランド初の国際賞、メディア界のノーベル賞とも言える「表現の自由賞」を設立することが盛りこまれている。

その背景にはこんなことがあった。

不正発覚の隠蔽工作
昨年7月のことである。暴露サイトWikiLeaksがアイスランドの銀行コイプシング(Kaupþing)の金融危機をめぐる不正をウェブで暴いた。国営テレビがその事実を放映しようとした直前に、「映画のワンシーンのように(アサンジュ氏談)」報道差し止めの命令が舞い込む。しかし機転を利かせたアナウンサーがWikiLeaksのウェブ画面を放映した。かくしてコイプシングの不正が明るみにでることとなり、WikiLeaksは一躍脚光を浴びることになった。

このようなことが2度とあってはならない、とWikiLeaksの創設者ジュリアン・アサンジュ氏と同僚を含むアイスランドの政治家と国際法の専門家のチームが起草したのがこの法案であった。これがIcelandic Modern Media Institution(アイスランド現代メディア協会IMMI)の誕生である。

Immi_hp    IMMIホームページ

海外からの圧力への反発
また、今年の春にはアフガニスタン駐留米軍の機密(民間人とロイター記者を米軍が攻撃したビデオ)を漏らしたことでWikiLeaksが注目を浴び、その開示準備がアイスランドの協力者によることとわかると、US当局からWikiLeaksをシャットダウンせよと再三アイスランド政府が非難されることになった。(アイスランドはこの手の干渉は大嫌いだと想像する)

そう、この法制化は、アイスランドが調査取材を行う世界中のジャーナリストや密告者の安全な避難所となり、腐敗や不正との闘いを援護するという決意の現れである。と同時に、虚偽と不透明な情報によって引き起こされた経済破綻という不名誉なイメージを払拭して新しい出発をするという狙いがあったのだろう。

このIMMI(アイスランド現代メディア協会)立ち上げの記事については8月17日に朝日新聞が掲載していた。

アイスランドでは4月に金融崩壊をめぐる最終調査書がまとめられたが、それに基づいて9月11日には当時の大臣らの責任を問う特別法廷に誰を呼び出すべきかが発表されたばかり。アイスランドの誰が本当のことをいい、誰が真実を明らかにしてくれるのか、まだまだ不透明。だからこそ、この法制化は国民の総意なのかもしれない。

しかし・・・
秘密を漏らすことによって不必要な被害をこうむるものはいないと、ジュリアン・アサンジュ氏は語るが、何を動機として機密とし、何を動機として開示するのか、とても重要なことだと思う。また言論の自由を傘に倫理も何もない無法地帯にしてはならない。

そこにこそアイスランド人の最も尊重するべき価値観「高潔」「誠実」「正直」が発揮され、アイスランドこそが誇りある報道の聖地にふさわしいと言わしめる「正義感」「責任」を持って世界の正義の擁護者になって欲しい。。

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